有人宇宙船・神舟6号打上げ! [宇宙村]
先日の10月11日午前10:00(日本時間)、内モンゴル自治区の酒泉衛星発射センター(JSLC)から中国の有人宇宙船・神舟6号が打上げられました。同宇宙船シリーズの過去の打上げ実績は下記の通りです。
- 神舟1号(1999年11月)~4号(2002年12月):無人テスト飛行
- 神舟5号(2003年10月):中国初の有人飛行(旧ソ連、米国に続く世界3番目)
乗員数 1名、飛行時間 21時間 - 神舟6号(2005年10月):2回目の有人飛行
乗員数 2名、飛行時間 5日間(予定)
[打上げロケット]
神舟シリーズの打上げには、長征2号F型ロケット(CZ-2F:Chang Zheng Erhao F、 英語表記ではLM-2F:Long March-2F )が使用されています。中国長城工業総公司(CGWIC)やEncyclopedia Astronautica(注:ポップアップウィンドウが出る場合があります)のサイトによると、このLM-2Fは商業打上げ用ロケットLM-2Eの有人仕様型で、「予備系統の追加」「宇宙船フェアリングと非常脱出塔を支えるための上段ロケット強化」といった改良が行なわれた模様です。
2段式のLM-2Fは、各段とも酸化剤:四酸化二窒素(N2O4)と推進剤:非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を組み合わせた液体エンジンを使用しています。UDMHは毒性が強く(発ガン性あり)、最近開発されたロケットではあまり使われません。とはいえ、酸化剤と推進剤を混ぜただけで自己着火する、ミサイルなどで実績のある燃料方式です。
[有人宇宙船・神舟]
この有人宇宙船・神舟は、ロシアの有人宇宙船・ソユーズと似通った形状をしています。実際、過去に中国はロシアから有人衛星の技術供与を受けましたが、Encyclopedia Astronauticaのサイトなどでは、「再突入カプセル部分はコンセプト的にソユーズをベースにしているが、コピーではない」としています。
ところで、神舟やソユーズでは、図-1の様に「3モジュール」方式の宇宙船構成を採用しています。この構成の場合、最も高い信頼性が要求される「再突入モジュール」をコンパクト化できます。また、神舟では「軌道モジュール」が特徴的で、乗員が地球帰還後も、軌道上に残って無人活動ができる様に作られています。
(c)Blizado
(図-1)神舟やソユーズ宇宙船が採用する3モジュール方式の概念図
・地球帰還時は各モジュールが分離、乗員を乗せた再突入カプセルのみパラシュート回収。
世界の衛星打上げロケット(中国編) [宇宙村]
今回は世界の衛星打上げロケットの中国編です。
近年、有人宇宙船・神舟の成功など宇宙開発に力を入れている中国ですが、衛星打上げサービス分野でも各種の国産ロケットを取り揃えて、世界各国の衛星打上げを請け負っています。
中国の宇宙開発組織では中国国家航天局(CNSA)が有名ですが、世界的な商業打上げサービスは中国長城工業総公司(CGWIC)が担当しています。打上げサービスの窓口だけあって、このCGWICサイトでは、中国の衛星打上げロケット・シリーズが比較的詳しく紹介されています。
(1)衛星打上げロケット
- LM-2C/CTS [2段式+上段]
LM-2Cは低高度周回軌道用打上げロケットです。また、CTSはこのLM-2C専用上段ロケット(smart dispenser)ですが、元々はイリジウム衛星の多重打上げ用に開発されました。
低高度周回軌道または太陽同期軌道(@高度900km)
1.5t
上記の様に太陽同期軌道にも打上げ可能ですが、打上げ実績の多くが低高度周回軌道です。なお、CTS抜きのLM-2C単独の場合、低高度周回軌道への輸送能力は3.4tです。
- LM-2D [2段式]
LM-2DはLM-4をベースに開発された、低高度周回軌道用打上げロケットです。
低高度周回軌道
3.7t
- LM-2E [3段式]
LM-2Eは中国における世界的な衛星打上げサービスの幕開けとなった打上げロケット、とのことです。また、このLM-2Eのアップグレード版がLM-2F(有人宇宙船打上げ用)です。
低高度周回軌道
9.5t
静止トランスファー軌道
3.5t(ペリジキックモータEPKM使用)
低高度周回軌道、太陽同期軌道、静止トランスファー軌道の各軌道へ打上げ可能の様ですが、打上げ実績は低高度周回軌道のみです。
- LM-3A [3段式]
LM-3Aは、主に中国の通信衛星用に開発された打上げロケットです。
静止トランスファー軌道
2.6t
- LM-3B [3段式]
LM-3BはLM-3Aの周囲に4本の液体ブースタを取り付けた、世界的な通信衛星打上げサービス用に開発された打上げロケットです。
静止トランスファー軌道
5.1t
- LM-4 [3段式]
当初、LM-4はLM-3のバックアップ用に開発されましたが、LM-3の成功後は、主に太陽同期軌道用に使われる様になりました。
低高度周回軌道
4.6t
太陽同期軌道
2.8t
静止トランスファー軌道
1.4t
上記各軌道への打上げが可能の様ですが、打上げ実績は太陽同期軌道のみです。
(2)射場
- 西昌衛星発射センター (XSLC)
静止トランスファー軌道への打上げに使われます。 - 太原衛星発射センター(TSLC)
低高度周回軌道や太陽同期軌道等の多様な軌道への打上げに使われます。 - 酒泉衛星発射センター(JSLC)
主に科学実験衛星や回収衛星の低中高度・高傾斜角軌道への打上げに使われます。
中国長城工業総公司(CGWIC)のサイトを見る限り、打上げ成功率は95.6%(6機種平均)と優れた打上げ実績を残しています。また、最近の打上げ回数を数えたところ、2003年:6回、2004年:8回でした(有人宇宙船・神舟の打上げを含む)。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
世界の衛星打上げロケット(ロシア編2) [宇宙村]
前回(9月11日)、世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)として、ロシア系(ロシア、ウクライナ、カザフスタン)の衛星打上げサービスについて5社中2社分をご紹介しました。
今回はロシア編2として、その残り3社(ILS社、Eurockot社、Starsem社)を書きます。
- ロシア系独自の打上げサービス会社
Kosmotras社
・Dneprロケットを使った打上げサービス
- ロシア系と欧米企業の共同設立による打上げサービス会社
Sea Launch社
・Zenitロケットを使った打上げサービス
ロシア編1↑
-----------------------
ロシア編2↓
ILS社
・Protonロケット、Angaraロケットを使った打上げサービス
Eurockot社
・ROCOTロケットを使った打上げサービス
- ロシア系と欧米企業の共同設立によるロケット供給会社
Starsem社
・Soyuzロケットを欧州の打上げサービス会社に供給
(3)ILS社
米国編2でもご紹介したこのInternational Launch Servicesは、下記企業が共同設立した打上げサービス会社です。
- Lockheed Martin社(米国)
- Khrunichev State Research and Production Space Center(ロシア)
このILS社では、衛星打上げサービスにLockheed Martin社製のAtlas V ロケットと、ロシア製のProtonロケット及びAngaraロケット(予定)を用います。そこで、今回はロシア製2機種の輸送能力を、同社がネット公開しているMission Planner Guidesからピックアップしてみました。
- ロケット
・Proton [3段式(+上段)]
低高度周回軌道(@高度200km、傾斜角51.6deg)
Proton M:21.6t
静止トランスファー軌道(@高度4200×35786km、傾斜角23.3deg)
Proton M/Breeze M:5.6t
地球脱出軌道(@C3=0km2/sec2)
Proton M/Breeze M:5.7t
・Angara(予定) [2段式(+上段)]
低高度周回軌道(@高度200km、傾斜角63deg)
Angara A3:14.1t
Angara A5:23.8t
静止トランスファー軌道(@高度5500×35786km、傾斜角25deg)
Angara A3/Breeze-M:2.4t
Angara A5/Breeze-M:5.4t
- 射場
・Proton
バイコヌール基地(カザフスタン)
・Angara
プレセツク基地(ロシア)
(4)Eurockot社
このEurockot Launch Servicesは、下記企業が共同設立した打上げサービス会社です。
- EADS SPACE Transportation(欧州)
- Khrunichev State Research and Production Space Center(ロシア)
このEurockot社が打上げサービスに用いるROCOTロケットは、第1、2段にロシアのICBM(SS-19)を流用、それに上段ロケットBreeze-KMを組み合わせたものです。
まったく、ロシア編1のDnepr-1にしろ、このROCOTにしろ、不要になったロシアのICBMを打上げサービスに使われては、マジメに衛星打上げロケットを開発していてもコスト的になかなか太刀打ちできません。だからこそ、欧米企業はロシアと手を組んで、「自国製の高性能ロケット」と「ロシア製の低コストロケット」を使い分ける打上げサービスを行なっているのでしょう。
さて、ROCOT社がネット公開しているUser Guideから、このROCOTロケットの輸送能力を下記の様にピックアップしてみました。
- ロケット
・ROCOT [2段式+上段]
低高度周回軌道(@高度200km、傾斜角63deg)
2.0t
太陽同期軌道(@高度800km)
1.2t
- 射場
・プレセツク基地(ロシア)
(5)Starsem社
このStarsem(The Soyuz Company)は、下記企業が共同設立した、商業打上げ用にSoyuzロケットを供給する会社です。そして、同ロケットの供給を受けたArianespace社などが、その打上げサービスを行なう様です。
- European Aeronautic Defence and Space Company(EADS)(欧州)
- Arianespace(欧州)
- Russian Federal Space Agency(ロシア)
- Samara Space Center(ロシア)
商業打上げ用Soyuzロケットの輸送能力は、欧州編をご覧下さい。
さて、米国編1,2、欧州編、ロシア編1,2と続いた世界の衛星打上げロケット、次回は中国編を予定しております。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
探査機「はやぶさ」小惑星に到着!^^ [宇宙村]
9月12日午前10時、日本の小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」が小惑星「イトカワ」に到着しました。正確には、イトカワの近傍約20kmのところに相対静止しているのですが、11月には短時間ですがイトカワに着陸します。そして、岩石試料のサンプリングを試みた後、イトカワを出発、2007年6月に地球へ帰還する予定です。
(c)JAXA
小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」
この小惑星探査機「はやぶさ」の飛行計画は、こちらのサイトに掲載されています。同サイトでは小惑星滞在期間が5ヶ月とあるのに、今回の新聞発表では2ヶ月と短くなっています。これって、イトカワへの到着が遅れた影響ですかね^^;
ところで、はやぶさの各サイト(1,2,3,4)を読むと、同探査機は科学ミッションと工学ミッションの二面を背負っている様です。
- 科学ミッション:地球近傍の小惑星「イトカワ」探査。その目的のため、下記各機器を搭載。
・光学観測カメラ、レーザ高度計、蛍光X線スペクトロメータ、近赤外線分光計
・サンプル採取装置
・小型ジャンプロボット「ミネルヴァ」
- 工学ミッション:工学実験として、主に下記4件の課題を有する。
・電気推進による惑星間飛行
・自律型の探査機技術
・小天体からのサンプル採取
・地球帰還軌道からの大気圏再突入
これらのミッションが順調に成功すれば、この間、彗星に衝突体をぶつけたNASAの彗星探査機ディープ・インパクト以上の成果が得られそうです。特に、「小惑星への着陸」は、将来的には地球衝突の可能性がある小天体に無線機を取り付けたり、さらには軌道制御用エンジンを取り付ける(まあ、遠い未来の話ですが^^;)様な話へ発展する技術です。
ところで、2~3年前に私がネット検索していたら、とある個人サイトに『日本はすぐ近くの「月からのサンプルリターン(岩石試料の回収)」すら実現できないのに、それより遙かに遠い「小惑星からのサンプルリターン」をやろうとしている。できる筈がない』なんてサイト主のコメントが書いてありました。
まあ、良くある誤解です。地球の1/6とはいえ引力が大きい月からのサンプルリターンは、離着陸のためにパワフルな探査機が必要となります(旧ソ連のルナ16号は全備質量5.6t)。一方、引力のほとんどない小惑星なら、日本が得意とする小型探査機でも離着陸可能です(その代わり、長期間&長距離の惑星間航行技術が必要となる)。
いずれにせよ、サンプルリターンには極めて高度な技術を要します。従って、はやぶさの地球帰還まではハラハラドキドキ、でもワクワクな1年9ヶ月になるワケです...((((o゜▽゜)o))) ドキドキ♪
世界の衛星打上げロケット(ロシア編1) [宇宙村]
さて、今回は世界の衛星打上げロケットのロシア編1です。
実は、私自身、ロシア系(ロシア、ウクライナ、カザフスタン)における衛星打上げサービスの実態について、あまり良く知りませんでした。それが、このロシア編を書くためネット上を調べてみて、初めてオボロゲながらその全貌が見えてきました。
すなわち、「ロシア系独自の打上げサービス会社は1社程度。多くはロシア系と欧米系の共同設立会社を介して、打上げサービス業界に参入」している様です。
- ロシア系独自の打上げサービス会社
Kosmotras社
・Dneprロケットを使った打上げサービス
- ロシア系と欧米企業の共同設立による打上げサービス会社
Sea Launch社
・Zenitロケットを使った打上げサービス
ILS社(←米国編2でもご紹介)
・Protonロケット、Angaraロケットを使った打上げサービス
Eurockot社
・ROCOTロケットを使った打上げサービス
- ロシア系と欧米企業の共同設立によるロケット供給会社
Starsem社
・Soyuzロケットを欧州の打上げサービス会社に供給
(1)Kosmotras社
このISC Kosmotrasは、ロシア(及びウクライナ、カザフスタン共同)の打上げサービス会社です。START(戦略核兵器削減条約)により廃棄対象になったICBM(SS-18)を流用したDnepr-1ロケットを用いて、低高度軌道への衛星打上げを行ないます。
この会社における打上げサービスの特徴は、「SS-18をほとんどそのまま使っている(様に見える)」点でしょうか。後述のROCOTロケットの様に上段ロケットを追加することもなく、また、打上げにはICBM同様の地下サイロ設備を使います。
同社がネット公開しているDnepr Space Launch System User’s Guideから、このロケットの輸送能力を下記の様にピックアップしてみました。
- ロケット
・Dnepr-1 [3段式]
低高度周回軌道(@傾斜角50.5deg)相当
3.7t(@高度300km)、2.7t(@高度500km)
太陽同期軌道(@傾斜角98deg)相当
1.8t(@高度500km)、0.3t(@高度800km)
- 射場
・バイコヌール基地(カザフスタン共和国)
なお、この間の8月24日、我が国の小型衛星OICETSとINDEXがこのKosmotras社の打上げサービスを利用して打上げられました(こちらのブログ記事でご紹介)。
(2)Sea Launch社
このSea Launch Company,LLCは、下記企業が共同設立した打上げサービス会社です。
- Boeing Commercial Space Company(米国)
- Aker Kvaerner(ノルウェイ)
- RSC Energia(ロシア)
- SDO Yuzhnoye / PO Yuzhmash(ウクライナ)
そして、米国編1でご紹介したBLS(Boeing Launch Services)社がこの打上げサービスの営業を担当しています。
このSea Launch社が打上げサービスに用いるZenit-3SLロケットは、第1、2段にYuzhnoye/Yuzhmash社のZenit、第3段にEnergia社のBlock DM-SLを用い、さらにBoing社が衛星格納部分を担当したインターナショナルなロケットです。
また、同社打上げサービスの最大の特徴は、その名前の通り「海上発射」という点です。すなわち、石油採掘用プラットフォームを流用した移動式海上プラットフォームに、カリフォルニア州の港でロケットを載せて赤道近くまで移動、そこで打上げ作業が行なわれます。
赤道近くで打上げるメリットは、主として「衛星の打上げ効率が向上する」、「全方位に対する打上げが容易」の2点でしょう。 なお、陸上打上げ版のLand Launchサービスもあります。
さて、同社がネット公開しているUser’s Guideを入手して、輸送能力の概要をご紹介したかったのですが、それにはキチッとした登録が要求されるので今回は見送りました。従って、下記の輸送能力は別サイトにあった非公式な値です...m(_ _)m
- ロケット
・Zenit-3SL [3段式]
低高度周回軌道
7.0t
静止トランスファー軌道(@高度200×35786km、傾斜角0deg)
5.3~6.0t
- 射場
・移動式海上プラットフォーム(射点:赤道上・西経154度)
以上、文頭に挙げたロシア系の打上げサービスの内、2社分をご紹介しました。残りの3社分は、「世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)」に続きます^^;
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
世界の衛星打上げロケット(欧州編) [宇宙村]
世界の衛星打上げロケットの米国編1、米国編2に続き、今回は欧州編です。
欧州の衛星打上げロケットといえば、Arianeシリーズが有名です。1979年、Ariane 1の打上げ成功を皮切りに、ESA(欧州宇宙機関)における宇宙開発計画と、欧州の打上げサービス会社・Arianespace社における商業打上げ事業の両方に活躍。Ariane 2~4と段階的に改良されて、現在はAriane 5が使われています。
[Arianespace社のラインナップ]
Arianespace社では、将来計画分を含め、下記3種類の衛星打上げロケットを揃えています。
- Ariane 5(商業打上げに大活躍したAriane 4の後継機)
- Soyuz(ロシアの有人宇宙船用ロケットを衛星打上げに利用)
- Vega(現在開発中の小型~中型衛星打上げ用ロケット)
上記各ロケットの輸送能力の調査にあたって、今回、下記サイトを参照しました。
(1)Ariane 5 ロケット
Ariane 1~4と段階的に性能向上させていたArianeシリーズが、Ariane 5では一転して全く新しい超大型ロケットに化けました。現在、オリジナルのA5G型から、第1段エンジンを改良したA5ES型、 加えて第2段を液酸液水燃料にしたA5ECA型に移行しつつあります。
Arianespace社のHP及びUser’s Manualには、それらAriane 5ファミリーの輸送能力(概要)が、下記の様に記載されています。
- Arian 5 [2段式]
低高度周回軌道(@高度200~400km、傾斜角51.6deg)
19~21t(A5ES型,A5ECA型)
太陽同期軌道(@高度800km)
10t以上
静止トランスファー軌道(@高度250×35950km、傾斜角7deg)
6.7t(A5G型)~9.6t(A5ECA型)
地球脱出軌道(@C3=12.6km2/sec2)
3.2t(A5G型)~4.3t(A5ECA型)
その他
太陽-地球系L2点:6.6t(A5ECA型)
月投入軌道 :7t (A5ECA型)
(2)Soyuz ロケット
打上げサービスには輸送能力のバリエーションが不可欠です。Ariane 5 が順調に打上がる様になると、その半分程度の輸送能力のAriane 4は引退しましたが、Arianespace社ではその代わりにロシアのSoyuz ロケットを使った打上げサービスを始めました。
Arianespace社のSoyuz User’s Manualには、Soyuz/ST(SoyuzにAriane 4のフェアリングを搭載)とFregat(上段ロケット)を組み合わせた輸送能力が記載されています。
- Soyuz/ST[3段式] + Fregat[上段ロケット]
低高度周回軌道(@高度400km、傾斜角51.8deg)
6.0t
太陽同期軌道(@高度800km)
4.3t
静止トランスファー軌道(ギアナ宇宙センター打上げ相当)
1.5t (←バイコヌール基地打上げのため性能的に不利)
地球脱出軌道(@C3=0km2/sec2)
1.6t
現在、Soyuzロケットによる打上げサービスは、カザフスタン共和国のバイコヌール基地から打上げられています。それが、2008年からArian 5と同じくギアナ宇宙センターから打上げられる予定で、それにより静止トランスファー軌道への輸送能力が3t程度(従来の約2倍)まで向上します。
(3)Vega ロケット
現在、Soyuzロケットより小規模な小型~中型衛星打上げ用にVegaロケットが開発されています(2007年末に利用開始予定)。
- Vega[固体式3段+上段ロケット]
低高度周回軌道
2.3t(高度300km、傾斜角10deg)
1.5t(高度700km、傾斜角90deg)
[欧州の射場]
東方向への打上げの安全確保が不可能なヨーロッパ本土の代わりに、南アメリカのフランス領ギアナにESAのギアナ宇宙センターがあります。Ariane 5はもちろん、将来はSoyuz(Arianespace社受注分)やVegaもここから打上げられます。
このギアナ宇宙センターの特徴は赤道に近いことです(北緯5度)。赤道に近いと、静止衛星の打上げが効率的に行えるため、その分、打上げコストを抑えることができます。
[欧州編・まとめ]
欧州編のまとめとして、Ariane 5とSoyuzの輸送能力を比較した図を作りました(下図参照)。この比較にあたって、各ロケットの軌道条件がほぼ一致している「太陽同期軌道」と「静止トランスファー軌道」を選びました。また、参考として、H-2Aロケットの値も書込んでおきました(詳細な資料がネット上に見当たらないので、こちらの数値を引用)。
ただし、この図は資料から読み取った数字から個人的に作成したものであり、裏付けはありません。傾向を示すイメージ図としてご覧下さい。また、これは「輸送能力」の図であり、「輸送需要」ではないことにご注意下さい。
(c)Blizado
欧州打上げサービス会社の衛星打上げロケットとH-2Aの輸送能力比較(イメージ図)
こうして見ると、Ariane 5がカバーしていない中程度の輸送能力を、Soyuzが補完していることが判ります。しかも、この補完をAriane 4でなく、あえてロシアのロケットを使うあたりに、Arianespace社の経営戦略(さらに欧州の宇宙開発戦略)がうかがい知れます。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
世界の衛星打上げロケット(米国編2) [宇宙村]
先日は、世界の衛星打上げロケット(米国編1)と題して、Boeing社打上げサービス部門のDelta II 及びDelta IV ロケットの輸送能力を書きました。
さて、米国にはもう一つの打上げサービス会社があります。それが、ILS(International Launch Services)社。Atlasロケットを製造しているLockheed Martin社と、ロシアのKhrunichev State Research and Production Space Centerの共同設立会社で、Atlas V 及びProtonロケットを用いた衛星打上げサービスを行なっています。
[ILS社のラインナップ]
今回の米国編2では、ILS社が衛星打上げに用いるAtlas V 及びProtonロケットの輸送能力について調査しました。参照したサイトは下記の通りです(注:下記サイトでMission Planner Guidesをダウンロードする場合、名前やメールアドレスの登録が必要です)。
(1)Atlas V ロケット
ILS社が衛星打上げに用いるAtlasは、Deltaロケット同様に歴史が長いロケットです。1950年代末に米国のICBM用ブースタとして開発、60年代前半にはマーキュリー有人宇宙船の打上げにも使われました。その後、何段階もの改良を経て、現在のAtlas V ロケットに至ります。
このAtlas V ロケットは、フェアリングや補助ブースタのタイプにより、下記3種類のシリーズに分類されます。また、これ以外にも第2段ロケット(Centaur)のエンジン数にバリエーションがあり、その組合わせによって「401」「531」等の型番が振られています。
- Atlas V 400シリーズ(フェアリング:4mΦ、補助ブースタ:0~3本)
- Atlas V 500シリーズ(フェアリング:5mΦ、補助ブースタ:0~5本)
- Atlas V HLV(フェアリング:5mΦ、大型液体補助ブースタ:2本)
これらAtlas V ファミリーの代表的な輸送能力は下記の通りです。
- Atlas V 400/500シリーズ [2段式]
低高度周回軌道(@高度200km、傾斜角28.6deg)
12.5t(402型)
14.4t(531型)~20.5t(552型)
太陽同期軌道(@高度800km)
6.7t(401型)~11.0t(431型)
5.9t(501型)~14.5t(552型)
静止トランスファー軌道(@高度185×35786km、傾斜角27.0deg)
5.0t(401型)~7.8t(431型)
4.0t(501型)~8.7t(551型)
地球脱出軌道(@C3=0km2/sec2)
3.4t(401型)~5.5t(431型)
3.1t(501型)~6.5t(551型) - Atlas V HLV [2段式]
静止トランスファー軌道(@高度185×35786km、傾斜角27.0deg)
13.0t
この様に、Atlas V の400と500シリーズの相違点は基本的にフェアリングサイズであり、重量的な輸送能力は重複(500シリーズの方が広範囲)しています。なかなかユニークなシリーズ構成です。
(2)Proton ロケット
さて、 ILS社では、ロシアが開発したProtonロケットによる衛星打上げサービスも受注しています。DeltaやAtlasが米国本土の空軍基地から打上げられるのに対して、このProtonロケットはロシアのお隣、カザフスタン共和国のバイコヌール基地から打上げられます。まあ、ロシアが開発したロケットですから当たり前なのですが...米ソの冷戦時代は、遠い昔の話なんですね...( = =)
さて、Mission Planner Guidesによると、Protonロケットの代表的な輸送能力は下記の通りです。
- Proton M [3段式]
低高度周回軌道(@高度200km、傾斜角51.6deg)
21.6t - Proton M / Breeze M [3段式+上段]
静止トランスファー軌道(@高度4200×35786km、傾斜角23.3deg)
5.6t
地球脱出軌道(@C3=0km2/sec2)
5.7t
この様に並べてみると、Protonロケットの輸送能力はAtlas V 500シリーズの上位バージョンと重複しています。ということは、ILS社がAtlas V とProtonの両ロケットを揃えている理由は、輸送能力の品揃えを広げるためではない様です。
それ以外の理由として、例えば、「(仮にProtonが安価なら)お値段を気にするお客にProtonを勧める」とか、「Atlas V に重大なトラブルが発生した場合、それが解決するまで、衛星打上げをProtonに振り分ける」とかが考えられますが、本当のところはどうなんでしょうかね^^;
[米国の射場]
Boeing社のDelta II、Delta IV 及びILS社のAtlas V は、総て米国本土の東海岸と西海岸にある下記の空軍基地から打上げられます。
- CCAFS(ケープカナベラル空軍基地)
フロリダ半島のNASAのケネディ宇宙センターに隣接する射場で、太陽同期軌道を除く、東方向への打上げに用いられます。 - VAFB(バンデンバーグ空軍基地)
カリフォルニア州にある射場で、南南西方向の安全確保が要求される太陽同期軌道への打上げに用いられます。
[米国編・まとめ]
米国編のまとめとして、Delta II、Delta IV、Atlas V の輸送能力を比較した図を作りました(下図参照)。この比較にあたって、各ロケットの軌道条件がほぼ一致している「太陽同期軌道」と「静止トランスファー軌道」を選びました。また、参考として、H-2Aロケットの値も書込んでおきました(詳細な資料がネット上に見当たらないので、こちらの数値を引用)。
ただし、この図は資料から読み取った数字から個人的に作成したものであり、裏付けはありません。傾向を示すイメージ図としてご覧下さい。また、これは「輸送能力」の図であり、「輸送需要」ではないことにご注意下さい(例えば、太陽同期軌道に20tも運ぶ需要って考えにくいです...^^;)。
(c)Blizado
米国打上げサービス会社の衛星打上げロケットとH-2Aの輸送能力比較(イメージ図)
こうして比較すると、日本のH-2Aロケットって、静止トランスファー軌道への打上げ(静止衛星の軌道投入に使われる)の方が幾分得意の様ですね。恐らく、これはロケットの設計思想や打上げ環境の相違に因るものなのでしょう。
追記1:歌島さんのご指摘を反映してH-2Aロケットの参照資料を変更、文中の図も修正しました。
追記2:ILS社に関する情報を追加しました(2005/9/8)。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
世界の衛星打上げロケット(米国編1) [宇宙村]
たまには堅い話題を...(^◇^;)
新聞報道(8月30日付)によると、文部科学省はH-2Aロケットの輸送能力を大幅に増強したH-2Bロケット(旧称:H-2A能力向上型)を2008年度に打上げる計画を明らかにしました。このH-2Bロケットは、国際宇宙ステーションに物資を運搬する無人補給機・HTVの打上げに使われます。
これにより、日本独自の衛星打上げ手段として、M-V、H-2A、H-2Bという3種類のロケットが揃うことになります。さらに、民間主導のGXロケット(2007年初頭に試験機1号機打上げ予定)が完成すれば4種類になります。
ところで、日本以外の宇宙先進国では、どの様な衛星打上げ手段があるのでしょうか。私自身、ちょっと整理したくなったので、「世界の衛星打上げロケット(まずは中型~大型ロケットを対象)」というテーマで、数回に渡ってブログ記事を書きたいと思います(他の軽い話題の合間に...です^^;)。
さて、まずは「世界の衛星打上げロケット」米国編1です。
現在、米国の代表的な衛星打上げサービス(中型~大型ロケット使用)会社は、下記2社の様です。
- BLS(Boeing Launch Services)社
・Delta II、Delta IV ロケットによる衛星打上げ
・Deltaロケットを製造しているBoeing社の子会社 - ILS(International Launch Services)社
・Atlas V ロケット、Protonロケットによる衛星打上げ
・Atlasロケットを製造しているLockheed Martin社とロシアの共同設立会社
これ以外にも、NASAのスペースシャトルを使った衛星打上げサービスが存在したのですが...二度の大事故と機体喪失のため、シャトルによる衛星打上げサービスは事実上なくなりました。
[BLS社のラインナップ]
・Delta II、Delta IV
米国編1では、BLS社が衛星打上げに用いる、Delta II及びDelta IV ロケットの輸送能力について調査しました。その際、参照したサイトは下記の通りです。
Delta II及びDelta IVは多様な打上げ需要に対応するため、ロケット第2~3段、補助ブースタ、フェアリング等に各種バリエーションがあり、その組合わせによって「7320」とか「IV-M」等の型番が振られています。で、その型番によって輸送能力が大きく異なるので、今回は下記の様に各投入軌道に対する代表的な能力範囲を示しました。
- Delta II [2段式]
低高度周回軌道(@高度185km、傾斜角28.7deg)
2.8t(7320型)~6.1t(7920H型)
太陽同期軌道(@高度833km、傾斜角98.7deg)
1.7t(7320型)~3.2t(7920型) - Delta II [3段式]
静止トランスファー軌道(@高度185×35786km、傾斜角28.7deg)
0.9t(7326型)~2.2t(7925H型)
地球脱出軌道(@C3=0.4km2/sec2、傾斜角28.7deg)
0.7t(7325型)~1.5t(7925H型) - Delta IV [2段式]
低高度周回軌道(@高度400km、傾斜角51.6deg)
8.5t(IV-M型)~24.4t(IV-H型)
太陽同期軌道(@高度800km)
6.8t(IV-M型)~19.8t(IV-H型)
静止トランスファー軌道(@高度185×35786km、傾斜角28.5deg)
4.0t(IV-M型)~10.8t(IV-H型)
地球脱出軌道(@C3=0km2/sec2)
2.7t(IV-M型)~9.3t(IV-H型)
上記の輸送能力は、各種条件(打上げ場所、フェアリング寸法、衛星搭載アダプターなど)によって微妙に異なるので、詳細は「Delta Payload Planners Guides」をご覧下さい。
さて、Delta IIとDelta IVを組み合わせた、このBLS社のラインナップを見ると、その輸送能力はH-2Aロケットのおよそ1/4倍~4倍という広範囲をカバーしています。これだけあれば、米国の商業衛星、科学衛星、軍事衛星の打上げ需要のほとんどをまかなうことができるでしょう。
しかも、初代Deltaロケットの初飛行は1960年。それから、改良を加えながら継続的に打上げられて、最新のDelta IVファミリーに至ります。宇宙ロケットと言うと、何やら「最先端技術を結集!」といったイメージがありますが、こういった「実績に基づく安定した(枯れた)技術」も重要みたいですね。
追記1:次回の米国編2では、米国のもう一つの打上げサービス会社、ILS社のAtlas V 及びProtonロケットをご紹介します。
追記2:本文中の打上げサービス会社の呼称を見直し、情報を追加しました(2005/9/8)。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
露ICBMで日本の衛星打上げ・成功^^ [宇宙村]
明後日の8月24日午前6時10分(日本時間)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型衛星・OICETSとINDEXが打上げられます(カウントダウンサイトはこちら)。
追記:打上げは成功、両衛星の軌道投入が確認されました^^
今回、JAXA初のロシアの商業ロケットによる衛星打上げですが、それに使われる商業ロケット・ドニエプルって、実は、ロシアのICBM(SS-18)の転用^^; 戦略核兵器削減条約・STARTにより、削減対象になったICBMが商業ロケットに化けたワケです。さすがロシア...(^◇^;)
このドニエプル・ロケットは、ソユーズ宇宙船も使う有名な「バイコヌール基地」から打上げられます(場所はカザフスタン共和国にある)。で、同基地でのドニエプルの打上げ方法を調べてみたら、まんま、ICBMの発射方式(地下サイロから打上げ)でした^^;
...いやあ、出自はともかく商業打上げなんだから、何も地下サイロを使わなくても...と思うのですが、ICBM時代からの打上げ方法を変えない方が、コスト面でも信頼性の面でも優れているのでしょう(過去の打上げ映像はこちら←「対象をファイルに保存」で取込んでから見るとイイです)。
さて、このドニエプル・ロケットに搭載されるJAXAの小型衛星ですが、
- 光衛星間通信衛星(OICETS):
衛星質量約570kg。高度約610kmの極軌道に打上げられて、欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)との間で、光通信技術実験を行ないます。 - INDEX衛星:
衛星質量約70kg。OICETSと一緒に打上げられて、先端的な衛星工学技術の軌道上実証実験を行ないます。
(c)JAXA
OICETSの実験風景(想像図)。実際の光通信回線は、この図の様に見えたりしません^^;
以前、ご紹介したロシア原潜からの打上げと異なり、ドニエプル・ロケットの打上げ成功率は97%以上と衛星打上げ手段としては充分な実績を出しています。...とはいえ、100%の成功率を保証できないのがロケット打上げの定め。
是非、打上げ成功して欲しいですね^^
追記:冒頭の追記の様に打上げは成功しました。あとは、無事にミッションを遂行して、衛星寿命(運用期間はOICETS:1年、INDEX:1ヶ月を予定)を全うして欲しいですね^^
宇宙食ラーメン「スペース・ラム」!^^ [宇宙村]
先日、スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗している野口飛行士がシャトル内で食べた、宇宙食ラーメン「スペース・ラム」の実物(写真・左)を見てきました~(^。^) 見学できる場所は、東京駅前「丸の内オアゾ」2階にある広報サービスセンター「JAXA i」です。
この「スペース・ラム」は日清食品とJAXAの共同開発で、しょうゆ味、みそ味、カレー味、とんこつ味があるそうです。で、開発のポイントは、「シャトル内にスープが飛び散らない様に粘度を高めた」及び「シャトル内で給湯可能な70℃のお湯で湯戻し可能」の二点とか...(^▽^;) ナルホド
(左)これが、宇宙食ラーメン「スペース・ラム」だ!(^◇^;)
(右)あれ、船外活動用宇宙服のスイッチの文字が反対向きだ...。
ニュース記事によると、この「スペース・ラム」を食べた野口飛行士は、「地球で食べる味がびっくりするくらい再現されていて、驚いた」と述べたとか。う~ん、「和食の宇宙食化」はこれまで何度か試みられてきましたが、今後の「和食の宇宙食化」ブームに備えて、宇宙飛行士にもグルメレポートのスキルが必要かも知れません。
例えば、「なつかしい、素朴な味ですね」「作り手の愛情が感じられます」「都会では味わえない料理ですね」程度の表現は欲しいところ。目指せ!「くいしん坊!万才」宇宙編...(^◇^;) ヲイ
ところで、「JAXA i」ではスペース・ラムの隣りに船外活動用の宇宙服(こちらは模擬品でしょうね)が展示されていました。そこで、面白いことを発見!^^ その宇宙服の胸部に並んでいるスイッチまわりの印刷が、「鏡文字(反対向き)」になっていました(写真・右)。
これって、飛行士自身がスイッチを操作する際、手鏡で目視できる様に、わざと「鏡文字」にしてあるんだと思うのですが...どうなんでしょうかね?^^
ま、それはともかく、現在は国際宇宙ステーションに滞在中のスペースシャトル「ディスカバリー号」(今回のフライトに限らないですが)、無事に地球帰還して欲しいですね^^
追記:8月9日21時11分(日本時間)、ディスカバリー号は米国西海岸のエドワーズ空軍基地に無事帰還しました^^