世界の衛星打上げロケット(中国編) [宇宙村]
今回は世界の衛星打上げロケットの中国編です。
近年、有人宇宙船・神舟の成功など宇宙開発に力を入れている中国ですが、衛星打上げサービス分野でも各種の国産ロケットを取り揃えて、世界各国の衛星打上げを請け負っています。
中国の宇宙開発組織では中国国家航天局(CNSA)が有名ですが、世界的な商業打上げサービスは中国長城工業総公司(CGWIC)が担当しています。打上げサービスの窓口だけあって、このCGWICサイトでは、中国の衛星打上げロケット・シリーズが比較的詳しく紹介されています。
(1)衛星打上げロケット
- LM-2C/CTS [2段式+上段]
LM-2Cは低高度周回軌道用打上げロケットです。また、CTSはこのLM-2C専用上段ロケット(smart dispenser)ですが、元々はイリジウム衛星の多重打上げ用に開発されました。
低高度周回軌道または太陽同期軌道(@高度900km)
1.5t
上記の様に太陽同期軌道にも打上げ可能ですが、打上げ実績の多くが低高度周回軌道です。なお、CTS抜きのLM-2C単独の場合、低高度周回軌道への輸送能力は3.4tです。
- LM-2D [2段式]
LM-2DはLM-4をベースに開発された、低高度周回軌道用打上げロケットです。
低高度周回軌道
3.7t
- LM-2E [3段式]
LM-2Eは中国における世界的な衛星打上げサービスの幕開けとなった打上げロケット、とのことです。また、このLM-2Eのアップグレード版がLM-2F(有人宇宙船打上げ用)です。
低高度周回軌道
9.5t
静止トランスファー軌道
3.5t(ペリジキックモータEPKM使用)
低高度周回軌道、太陽同期軌道、静止トランスファー軌道の各軌道へ打上げ可能の様ですが、打上げ実績は低高度周回軌道のみです。
- LM-3A [3段式]
LM-3Aは、主に中国の通信衛星用に開発された打上げロケットです。
静止トランスファー軌道
2.6t
- LM-3B [3段式]
LM-3BはLM-3Aの周囲に4本の液体ブースタを取り付けた、世界的な通信衛星打上げサービス用に開発された打上げロケットです。
静止トランスファー軌道
5.1t
- LM-4 [3段式]
当初、LM-4はLM-3のバックアップ用に開発されましたが、LM-3の成功後は、主に太陽同期軌道用に使われる様になりました。
低高度周回軌道
4.6t
太陽同期軌道
2.8t
静止トランスファー軌道
1.4t
上記各軌道への打上げが可能の様ですが、打上げ実績は太陽同期軌道のみです。
(2)射場
- 西昌衛星発射センター (XSLC)
静止トランスファー軌道への打上げに使われます。 - 太原衛星発射センター(TSLC)
低高度周回軌道や太陽同期軌道等の多様な軌道への打上げに使われます。 - 酒泉衛星発射センター(JSLC)
主に科学実験衛星や回収衛星の低中高度・高傾斜角軌道への打上げに使われます。
中国長城工業総公司(CGWIC)のサイトを見る限り、打上げ成功率は95.6%(6機種平均)と優れた打上げ実績を残しています。また、最近の打上げ回数を数えたところ、2003年:6回、2004年:8回でした(有人宇宙船・神舟の打上げを含む)。
[INDEX]
- 世界の衛星打上げロケット(米国編1)
- 世界の衛星打上げロケット(米国編2)
- 世界の衛星打上げロケット(欧州編)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編1)
- 世界の衛星打上げロケット(ロシア編2)
- 世界の衛星打上げロケット(中国編)
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