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ロケット研究設備を見学&実体験しちゃった^^ [宇宙村]

今週の後半、休暇をとって「角田宇宙センター」へ行ってきました。この「角田宇宙センター」の所在地は、宮城県角田市の第一海軍火薬廠・跡地。1965年、ここに航空宇宙技術研究所の角田支所が発足して以来、我が国におけるロケットエンジンの研究開発が行なわれています。

ここは、将来型ロケットエンジンの基礎研究から、現行ロケットエンジンの改良研究など、毎日の様にエンジン燃焼試験やターボポンプ動作試験があるという、宇宙好きには「燃え...」いや「萌える」場所です^^ 今回、私は「宇宙作家クラブ」という集まりの見学会に、偶然にも付き添えたお陰で、詳細な設備見学や実体験に参加できました。角田宇宙センター及び見学会の企画者の皆さまに感謝、感謝です~(^人^)♪

 
(1-左)高温衝撃風洞の試験風景(写真右端、かぶりつきで様子を見守るSF作家・笹本氏)。
(1-右)高温衝撃風洞の動作原理は巨大な「豆鉄砲」。全長約80m、まさしく大砲の砲身そっくりでした(動作時、軸方向に大きく揺れました)^^;

 
(2-左)超音速風洞実験の実体験。まず、試験模型に墨入り油を塗ります。
(2-右)そして、遠隔操作室から風洞試験スタート!(この写真はシュリーレン試験時のもの)

 
(3-左)試作ラムジェットエンジンの試験風景。 使い込まれた無数の配管とタンクに囲まれたテストスタンドに、ピカピカの試作エンジンが置かれています(指差しているのが宇宙評論家・松浦氏)。
(3-右)試験開始、液酸・液水燃料に点火! 遠隔操作室にいても、すさまじい轟音が...(>▽<;;

その他にも、各種の小型・大型試験設備の見学や、試作ターボポンプの分解作業体験(写真撮影は不可でした...^^;)などなど、盛りだくさんの3日間でした。

今回、ロケットエンジンの研究開発の現場を見学&実体験してみて、この様な「基礎からのエンジン試験の積み重ね」の重要性が分かった気がします。紙の上とか、CRT画面上での研究・設計は不可欠ですが、それだけでは不十分でしょう。だって、実際に飛行するロケットエンジンは、紙の上やCRT画面上の「絵」ではなく、複雑な金属メカから構成される「実物」なのですから...( ̄д ̄)


 ところで、今週後半はいろいろな宇宙イベントがありました。

  • NASAのスペースシャトル「ディスカバリー号」の打上げ
     コロンビア号事故以来の打上げ再開でしたが、今回、シャトルの各所に取り付けられたカメラに打上げ時のタイル損傷や燃料タンクの断熱材剥離が写って大騒ぎになっています。でも、これって...今回固有の現象ではなく、以前から起きていたけど、カメラがなくて目の当たりにしていなかっただけじゃ...(>ω<)/。・゜゜・ゲフンゲフン
     私の個人的予想では、「ディスカバリー号は予定通り帰還(多少の飛行延長あり)」「断熱材剥離対策のため、半年間程度の打上げ凍結」「その後、シャトル打上げは再開されるけど、国際宇宙ステーションの完成は黄信号のまま」...じゃないかと思います...( = =)

  • ESAの無人火星探査機マーズエクスプレスが火星の氷を発見
     火星の北極近くにあるクレーターの底に、水の氷が写っている様子が公開されました。運河ができるほどの量ではありませんが、これで生物の痕跡(多分、微生物クラス^^;)が発見される可能性が高まりました...(^。^)

  • 太陽系第10惑星が発見される?
     もちろん、天文学上の重要な発見であることに間違いないのですが、第10惑星と認定されるかどうかが微妙。つまり、「太陽の周囲を回る」「冥王星より遠い天体」なら以前にも発見されていました。今回は、加えて「冥王星より大きいみたい」だったので、すわ、第10惑星が発見された! というニュースになったのですが...。
     国際天文学連合といった組織が、今回の発見を「太陽系第10惑星」と認めるかどうかの判断にかかっているという...かなり人間くさいニュースだったりします...(^▽^;)

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「Google Moon」で月探険!?^^; [宇宙村]

1969年7月20日(米国東部時間)。この日、アポロ11号の月着陸船イーグルが月の「静かの海」に着陸成功。アームストロング船長が月面に世界初の第一歩を印しました。

...つまり、昨日は月着陸36周年記念日で、その日に合わせて、米Google社から「Google Moon」サービスが公開されました。このリンク先に飛べば、ブラウザ画面から「Google Maps」風に月面地図を眺めることができます。また、そのあばた面で灰色の月面には、ちゃんと、アポロ11~17号(13号はトラブルで着陸していない^^;)の着陸点がマークされています。

さらに、画面左上のスライドスイッチを動かすと、その月面地図がどんどん拡大していき...最後には...黄色いチーズの映像が!? しかも、名作アニメ「トムとジェリー」に出てくる様な穴あきチーズ。確かに、古く西洋では「月はグリーンチーズでできている」と言われていた様ですが...(^◇^;)

もしかすると、これって、月着陸36周年記念日に合わせたGoogle社自演のパロディ・ジョークなのかも~^^; 良く見ると写真じゃなくて絵が使われているし、全景を表示すると同じ映像が貼り合わせてある~ Googleコペルニクス・センターで求人予定という話も冗談っぽい~(>▽<;;


ところで、「Google Moon」を眺めていると(より正確にはNASAサイトのこちらをどうぞ^^)、アポロ各機の着陸点が、月中央部に偏っていることが分かります。初めての有人月探査計画であったアポロ計画では、多分、地球との通信条件が良好な月の中央部を着陸点に選んだのでしょう。

一方、2014年の初飛行が計画されている米国の次期有人宇宙機・CEV(Crew Exploration Vehicle)を使った、次期有人月探査計画(実施時期は未確定)では、月の極地方や裏側も探査範囲に入ると思われます。そんな未知の場所での離着陸や移動手段(徒歩や月面車)の研究のため、前回のブログ記事で述べた、「レゴリス・シミュラント」が大量に使われるのかも知れませんね^^

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模擬「月の石」ゲット!^^; [宇宙村]

今朝、学会参加のため米国出張していた知り合いから、お土産をもらいました。小さいビニール袋に入った十粒ほどの小石。添えられた説明書には「Lunar Simurant Soil」と書かれています。つまり、これって研究用に作られた「月の石」の模造品なのですね~(^◇^;)


直径数ミリの小石。これが「月の石」の研究用模造品ですか~^^

本物の「月の石」のお値段は、...アポロ計画の総経費を1000億ドルとすると、同計画により持ち帰った「月の石」が計381.7kgなので、およそ3700万円/g!! 金の約2万倍!! そう考えると、模造品と言えどもこのお土産は超レアアイテムかも...o(^-^)oルンルン

そこで、社内の月探査衛星担当部署にお邪魔して、この「月の石」模造品、正式名称「レゴリス・シミュラント」について話を聞きました。それによると、最近、NASA(米国航空宇宙局)では大量の「レゴリス・シミュラント」を必要としていて、各社に発注しているとか。NASAは、ブッシュ米国大統領の新宇宙政策に基づいて、アポロ計画以来となる有人月探査計画の研究に使う様です。

「で、このシミュラントって、どうやって作るんですか?」と私。
「本物に似た組成を持つ、火山の石を収集・破砕して作りますね」と月探査の専門家。
「...じゃあ、私がもらったこれって、地上の火山地帯から拾ってきた小石なんですか...」
「多分、そうですね。見たところ、細かい気泡がありますから、破砕する前の原料でしょう」
「なるほど...」

というワケで、お土産にもらった十粒ほどの小石は、地上の火山地帯で採取された「月の石」模造品の原材料らしいことが判明~(^◇^;) ソウダッタノカ...

さて、最近の米国の宇宙開発計画。今は「2010年引退を前提としたシャトル打上げ再開」で四苦八苦していますが、その陰では将来の有人月探査を目指して、着々と準備中なんですね~^^

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ディープインパクト方式で彗星迎撃?^^; [宇宙村]

米独立記念日の7月4日午前1時50分(米国東部時間)頃、NASAの彗星探査機ディープ・インパクトから放出された370kgのインパクターが、テンペル第1彗星に命中。その衝突の様子は探査機本体、ハッブル宇宙望遠鏡、各地の天文所で観測されました。日本でもTVや新聞で報道されたので、みなさんも良くご存じのことと思います。

Spaceflight Nowのサイト記事はこちら

昨晩、このネタをブログ記事にしようと思ったのですが、So-netブログが調子悪い。仕方がないので、ぼんやりTVニュースを見ていたら...ディープ・インパクトの成功は彗星探査に役立つばかりでなく、「将来的に、地球に衝突する恐れのある彗星や小惑星の軌道を変える技術に結びつく(←うろ覚えですが、確かこんな内容)なんて解説してる! 本当!? 本当にそうなの!?

...といった経緯から、ブリザド製作所では歌島博士のご支援の下、「地球衝突コースにあるNEO(地球近傍小天体)に、無人迎撃機をぶつけて、人類滅亡を防ぐことができるか?」について緊急検証しました。...おお、今日はなんてマジメなブログ記事なんだろう!(^◇^;)

[迎撃計画]

  1. まず、図1の様に、地球近傍を飛ぶNEO(小惑星とか彗星とか)が地球衝突コースにあるとします。人類滅亡の危機なワケです。
  2. そこで、人類滅亡の2年半前に、このNEOの地球衝突コースを変えるべく、地球から無人迎撃機を打上げます(図2)。
  3. 地球の公転速度より秒速5kmほど加速すると、この無人迎撃機は楕円軌道を2年かけて飛びます。そこで、途中で迎撃軌道を微調整すれば...
  4. 人類滅亡の半年前に、無人迎撃機は秒速5kmでNEOに命中(図3・A地点)、NEOの地球衝突コースが変わって人類は助かる(図3・B地点)...という寸法です。

 
(図1)このままだとNEO(地球近傍の小惑星や彗星)が地球に衝突! 人類滅亡の危機!


(図2)そこで、人類滅亡の2年半前に無人迎撃機を打上げ!(BGM:宇宙戦艦ヤマト)


(図3)人類滅亡の半年前、無人迎撃機はNEOに命中! NEOのコースがそれて人類は助かったのであった!...って本当にできるの?

しかし、どの程度、NEOのコースを変えれば地球は安全でしょうか。そこで、月軌道の外側、地球から40万kmほど離れたところにコースを変更できれば「成功!」と仮定します。それならば、半年前、無人迎撃機が命中(図3・A地点)した衝撃で、NEOが秒速0.02kmほど加速すればOKです。

はい、これで迎撃計画は完成です。つまり、NEOの1/250(=秒速0.02km÷秒速5km)の重さの無人迎撃機を、地球に衝突する2年半前に打上げれば人類は助かります

ところで、NEOの重さはどのくらいかな...って計算してみると、半径1kmくらいの岩石の塊で150億トン!? じゃあ、無人迎撃機に必要な重さは...6000万トン以上! そんなもの打上げられるワケないじゃない!! つまり、

  • 人類滅亡の2年半前に無人迎撃機を打上げれば、NEOの地球衝突コースを変更できる。
  • しかし、それには半径1kmのNEOに対して、6000万トン以上の無人迎撃機が必要となり、非現実的である。

でも、ご安心下さい。上記の迎撃計画は、NEOに対する迎撃タイミングを地球衝突の半年前に設定しています。だから、地球衝突の何年~何十年も前に遡って迎撃できれば、NEOのコース変更がわずかでも地球との距離はどんどん広がり、衝突の危険は去ります。

つまり、無人迎撃機をNEOに命中させて、NEOの地球衝突コースを変えようと思ったら、その地球衝突の数十年以上前(←歌島博士のご指摘で数値修正^^;)に危険を察知して迎撃する。これが結論。従って、まずはNEOの軌道予測技術を磨くのが、地球防衛の第一歩の様です。...普通の惑星に比べれば非常に身軽なNEOは、太陽光圧みたいなわずかな力でも軌道に影響するため、数年~数十年後の正確な軌道位置を予測するのが難しいんだそうです。

将来的には、危険そうなNEOに電波ビーコン装置を打ち込んで、それらの正確な軌道位置をリアルタイムで監視する時代が来るかも知れませんね。


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日本のX線天文衛星打上げ間近&成功!^^ [宇宙村]

7月6日の打上げを目指して、現在、内之浦宇宙空間観測所ではX線天文衛星・ASTRO-E2の打上げ準備作業が進んでる...ハズです。この衛星は、2000年にM-Vロケット4号機の不調で打上げ失敗したASTRO-Eの2号機になります。

(c)JAXA 

[X線天文衛星・ASTRO-E2の主要諸元(こちらの資料から引用)]

  • 打上げロケット:M-V 6号機
  • 打上げ時質量:約1.7トン
  • 打上げ軌道 :高度約260km×約570km、傾斜角約32度
  • 観測目的:
    - 宇宙の構造形成の解明。銀河団中のダークマターの質量や分布、銀河団の衝突合体過程を観測し、宇宙の構造形成過程を明らかにする。
    - ブラックホールの周辺現象と時空構造の解明。ブラックホール周辺での質量降着や加速現象や、ブラックホールの回転や重力構造を明らかにする。
  • 観測装置:
    - X線反射鏡
    - 高分解能X線分光計
    - X線CCDカメラ
    - 硬X線検出器

えっと...、私、天文観測分野は詳しくなくてナニですが、何でもX線の様に波長の短い電磁波は、宇宙の高エネルギー現象を観測するのに都合が良い様です。で、この日本のX線天文観測は世界的にもトップクラスにあり、これまで4機のX線天文衛星(はくちょう、てんま、ぎんが、あすか)が継続的に打上げられてきました。ところが、ASTRO-Eの打上げ失敗で、この5年間ほどX線天文観測ができず、このASTRO-E2の打上げが待たれていました。

今度は打上げ成功するといいですね^^

ところで、日本には内之浦と種子島の2箇所に中~大型ロケット発射場があります。どちらも鹿児島県にあり、今回は科学衛星用M-Vロケットを使って、大隅半島の内之浦から打ち上げられます。

追記:悪天候による打上げ延期がありましたが、7月10日12時30分、ASTRO-E2は打上げ成功しました。衛星名は「すざく(朱雀)」。この後、「すざく」はペリジ制御マヌーバ(円軌道に移動)→スピンダウン→太陽電池パドル展開→三軸姿勢捕捉→望遠鏡伸展といったクリティカル運用を経て、定常状態に移行する予定です。

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ロシア原潜から衛星打上げ...失敗 [宇宙村]

以前のブログ記事で、ロシアの原子力潜水艦に搭載されたSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)を使って打ち上げる、米国惑星協会のソーラーセール衛星「コスモス1」計画をご紹介しました。

日本時間22日午前4時46分、この「コスモス1」衛星を載せたSLBMがロシア北部バレンツ海沖の原子力潜水艦から発射。しかし、衛星は予定軌道に乗らず、打上げは失敗に終わった様です。

打上げ結果を伝えるSpaceflight Nowのサイト記事はこちら

今回の打上げは、ロシア海軍のSLBM発射訓練も兼ねたものらしく、「潜水中の原子力潜水艦からの海中発射」,「弾道飛行用のSLBMに上段ロケットとコスモス1を載せて打上げ」,「前回(2001年)の打上げも失敗していた」の3点で、明らかに打上げリスクの高い計画でした(まあ、その分、惑星協会が払った打上げ経費は格安だったのでしょう)。とはいえ、衛星の打上げ失敗は残念なニュースです。

...しかし、一番落胆したのは、惑星協会よりロシア海軍だったかも。ニュースによると、打上げ失敗の原因として、「SLBMの第一段エンジンの異常停止」が挙げられています。核戦争勃発時の報復攻撃を担わされた、原子力潜水艦のSLBMが正常に打上げられなかった...。まあ、核戦争なんか起きて欲しくない一般市民として、複雑な気分の打上げ失敗でした...( = =)

追記:歌島さんより御紹介のあったWired Newsのサイト記事によると、前回(2001年)の失敗原因は、「ソフトウェアの不具合(振動を検知した自動安全装置の過剰反応によって切り離し命令が解除された?)」で、コスモス1は上段ロケットから分離されないまま落下した模様です。

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災害監視衛星と予測技術を組合せて... [宇宙村]

えっと、たまには堅い記事も書いてみたりして...(^▽^;)

宇宙から地球を見つめる眼...いや、宇宙人じゃなくて、地球を見つめる「人工衛星の電子の眼」。この手の衛星で一番ポピュラーなのが、「気象衛星」ですかね^^ 気象衛星・ひまわりの撮像写真は、多くの方が毎日ご覧になっていると思います。ヤツは幸せな衛星です^^

一方、意外に知られていないのが「地球観測衛星」。この分野の先駆者として、Landsat衛星やSPOT衛星が有名です。10年ほど前からは、地球温暖化やオゾンホールなどの地球環境観測が盛んになって、米国,欧州,日本がいくつものグローバル環境観測用の衛星を打上げました(しかし、我が国のADEOS,ADEOS-IIの連続早期故障は痛かった...(T^T))。

最近は、1m分解能を越える商業観測衛星が活躍しています。これまで、偵察衛星の聖域だった1m分解能の観測が商業利用される...すごい時代の到来です。この様な超高分解能の観測能力は、商業利用以外にも応用できるかも知れません。新聞によると、この頃は、超高分解能な観測能力を備えた「災害監視衛星」への期待が高まっています。

(c) JAXA
↑平成17年度打上げ予定の陸域観測技術衛星・ALOS。高分解能の光学センサと電波センサを搭載して、地図作成、地球観測、災害状況把握、資源調査などに使われます。

こういった「災害監視衛星」の最大の難問は、「いかに有効な撮影データのみを、いかに素早く地上へ伝送するか」だと思います。つまり、災害監視のためには、「より高分解能」「よりワイド」な映像を「より連続的」に撮影して、「より素早く」地球へ伝送しなければなりません。それには、超高速(Gbps級?)の宇宙-地上局間回線の常時接続が必要ですし、仮に同回線が実現して膨大な撮像データを地上伝送できたとしても、地上施設での画像処理や画像分析が追いつきません。

じゃあ、どうすればいいか?

...まあ、ここから先は私のホラ話ですから、多少の矛盾には目をつぶっていただくとして...。まず、宇宙空間(例えば静止軌道)に大規模な「サーバー衛星」を配備します。で、その「サーバー衛星」は、低軌道を飛行する複数の「災害監視衛星」からレーザー通信回線により送られる撮像データを保存します。そして、その中から「災害映像」が写った撮像データを抽出、地上局へ伝送するのです(もちろん、地上局からのリクエストに従って、指定エリアの撮像データを伝送する仕事もします)。

(c) Blizado
↑災害監視衛星群の撮像データの中から、事前に未来予測したイメージと大きく異なるものを地上局へ伝送する「サーバー衛星」。空飛ぶ「地球シミュレータ(最近まで世界一だったスーパーコンピュータ)」みたいなもんです^^

でも、どうやって、大量の撮像データの中から「災害映像」を抽出するのか? 「過去の撮像データから大まかな未来変化を予測して、その予測映像を生成する処理ソフト」を開発、サーバー衛星に搭載するのです。この「記憶に基づく予測が知能の本質と捉え、それを人工知能に応用する考え方」が書かれた本については、ブログ「歌島昌由の近況」のご紹介をご覧下さい。

つまり、「災害監視衛星」と対になる「サーバー衛星」は、災害監視衛星から送られてくる撮像データを記憶して、任意の場所の「未来変化を予測」するのです。そして、次に同じ場所の撮像データが届いたら、予測とその実際の映像を比較。その結果、予測と実際が大きく異なっていたら、その撮像データの中に「災害の徴候や発生状況」が写っているかも知れません。サーバー衛星はそういったスクープ映像の可能性の高い撮像データを、自律的かつ優先的に地上局へ伝送するワケです。

気象変化,日変化,季節変化など、地上の様子は時間的に移ろいます。その変化が、通常の予測範囲内なら問題ありません。しかし、そこに予測外の特異な映像が含まれていたら、洪水,噴火,津波,大規模火災といった災害が写っている可能性が大です。もちろん、実際に何が写っているのかは、「サーバー衛星」から地上局へ伝送される撮像データを、人間の眼で確認,分析すれば良いのです。

いかがでしょうか、こんなアイデア...(^。^)

とりあえず、「伝送が大変なほど膨大な撮像データを、どうやってリアルタイムに予測,比較処理するんだい!」「そもそも、『過去の撮像データから大まかな未来変化を予測』が大変だろ!」...なんて、自ら突っ込んでおきます...(^▽^;)

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米・ロシアの新型有人宇宙船計画 [宇宙村]

本日の話題は、2010年代の有人宇宙船計画について~^^

現在、NASA(米国航空宇宙局)はシャトル後継機の有人宇宙船CEV(Crew Exploration Vehicle)、Rosaviacosmos(ロシア航空宇宙局)はソユーズ後継機の有人宇宙船Klipperを研究中です。

まず、先行しているKlipperから...


1.ロシアのKlipper計画

コロンビア号事故以来、シャトル運行再開までの間、国際宇宙ステーションへの唯一の有人フライト手段はロシアのソユーズ宇宙船です。このソユーズ宇宙船、初フライトが1967年ですから、改良されつつ実に40年近くフライトしていることになります...(^◇^;)

そして、昨年2月、ロシア航空宇宙局では長年使ってきたソユーズ宇宙船の後継機として、Klipper計画を発表しました。その概要はこちらのサイト。英文サイトですが、同宇宙船の予想図は一見の価値があります。同サイト記事によると、Klipperの主要諸元(11月修正版)は下記の通りです。

  • 宇宙船質量… 13t(打上げ時)
  • 乗員数……… 最大6名
  • 貨物搭載量… 500kg(行き、帰りとも)
  • 自律飛行時間 5日間(宇宙ステーション滞在時は360日間)
  • 再突入時荷重 最大2.5G
  • 打上げ手段… Zenitロケット

着陸/着水時はパラシュートを使う一方、同じ機体を25回程度再利用する予定です。

半年前、私がこのKlipper計画を初めて知った時、「スバラシイ!」と感動。この宇宙船の設計って、従来のカプセル型とシャトル型の「いいとこ取り」です。シャトル同様の高揚力型形状を採ることにより、大気圏再突入時の荷重緩和やクロスレンジ(着陸/着水地点への移動可能範囲)の確保を図る一方、着陸/着水時はパラシュートを使うことで、シャトルの様な巨大な翼を省いています。

シャトルの巨大な翼は大気圏再突入後に着陸場まで滑空するためですが、打上げ時や再突入の際の極超音速飛行時には活かされません。コロンビア号事故は、この翼の破損が原因となりました。

将来的には、離陸から着陸まで翼を有効利用したスペースプレーン型輸送機が活躍するのでしょう。でも、少なくとも現状の技術水準を考えた場合、このKlipper宇宙船の構想案は妥当な判断をしている様に思えたのです。


2.米国のCEV計画

昨年のコロンビア号事故を受けて、米国のブッシュ大統領は新宇宙政策を発表しました。その中で、2010年のシャトル運航終了と、2014年以降の米国の新しい有人宇宙船CEVの就航が述べられています(現在、CEVの就航が2010年まで繰り上げられる動きがあります)。

その出自から考えて、このCEV宇宙船は安全性を最優先した設計になると予想されます。で、今年の5月3日、ロッキードマーチン社がNASAに提出したCEV宇宙船構想案ですが...その概要はこちらのサイト、宇宙船の概念図はこちらの図をご覧下さい。

どうです...Klipper宇宙船に近い形状ですね...(^◇^;) 例えば(この後の数行、加筆しました) 

  • 基本的に、宇宙船は大気圏再突入モジュール+軌道上滞在用モジュール+推進モジュール構成で、後の2モジュールは大気圏再突入前に切離し。
  • ロケットの先端に載せて垂直に打上げ、水平姿勢(腹を下にした姿勢)で大気圏再突入。 
  • 大気圏再突入後、シャトルの様に最後まで滑空せず、パラシュートを使って着陸/着水する。

う~ん、米国でも、現状技術からこの方式が適していると判断したんですかね...( = =)

まだ、NASAの最終案が出てないので、ハッキリしたことは言えませんが、2010年代の米国とロシアの有人宇宙船構想がそっくり。...なかなか興味深いところです。また、この様な類似の構想案が出揃ったところで、宇宙開発の国際的なイニシアティブをとりたい米国とロシアがどの様に動くか。...競合?...協力?...この成り行きも眼が離せないところです...(^▽^;)


追記:米国の次期有人宇宙船CEVは「Orion」と命名されました。また、その形状はアポロ宇宙船と類似の円錐型になりました。

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ロシア原潜から衛星打上げ予定^^; [宇宙村]

今度の6月21日、米国の惑星協会がロシアに依頼して、ソーラーセール衛星「コスモス1」を打上げます(5月25日予定が再延期)。

この打上げ計画、

  • 計画主体が「民間団体」である米国惑星協会。
  • 太陽光圧を利用して加速する「ソーラーセール衛星」。

という部分だけでも充分に話題性がありますが、それに輪を掛けて、

  • ロシアの原子力潜水艦に搭載されたSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)を使って打上げ。

というのがスゴイ。...いや、不要となったSLBMの流用ではなく、現役の潜水艦からの水中発射です。なんでも、ロシア海軍のSLBM発射訓練も兼ねてるとか...(>▽<;;オイオイ

普通、この様な民間衛星の打上げは、「打上げ成功だとイイね!」なんて声を掛けたいところです。でも、SLBM発射訓練兼用の今回の打上げは...どうなんでしょ。まあ、冷戦時代は超極秘事項だったであろうSLBM発射訓練を、民間衛星打上げに有償利用させるだけ、世の中が平和になったと申しましょうか...ロシア海軍も見境いないと申しましょうか...(^◇^;)


ソーラーセールは、太陽光圧を使った宇宙空間用の推進手段です。ただ、何分にも太陽光圧という微少な力を利用するため、巨大な面積のセールを必要とします。で、そのセールを広げるために質量がかさんでは元も子もないワケで、その辺りの超軽量化が非常に重要となります。詳しくは、トラックバックさせていただいた歌島氏の記事をご覧下さい。

この方式、うまく行けばエネルギー供給なしの惑星間飛行などが可能となり、新しい深宇宙用の推進手段として、実用化されるかも知れません。ただ、その特長を活かすには、あまり重装備な深宇宙探査機ではなく、ミッションを限定した超軽量級の深宇宙探査機への応用がイイでしょう。うんとシンプルかつ低コストにして、一度に数十機を地球脱出軌道に乗せるのです。

その数十機のソーラーセール探査機は、風に乗ったタンポポの種の様に太陽系の外惑星へ向けて飛行して、(軽量・低コスト化のため)多くは途中で故障しても、残った数機が無事に目的地までたどり着いて、地球に観測データを送ってくる。地球ではアンテナを目的地付近に向けて、その観測データが送られてくるのを待ってる...そんなのどかな深宇宙探査計画...どうでしょ~?^^

 

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BS/CS放送で豪雨警戒のアイデア [宇宙村]

私は、CS放送「スカパー!」のお陰でアニメ三昧の毎日です。ただ、台風襲来のシーズンになると気掛かりが一つ。豪雨が降ると、(大体は30分以内に収まりますが)スカパー!の受信レベルが一時的に下がって、番組が受信できない時があります。そう、年に2~3回ってところでしょうか。

これは、大粒の雨が放送電波を吸収するために起きる現象です。BS放送やCS110放送でも同様な現象が起きているはずですが、送信電波が強い分、この「降雨減衰現象」は軽いんじゃないかと思います(私はBS/CS110放送を受信してないので、体験に基づく話ができませんが...(^▽^;))。

ところで、スカパー!の番組は、下図の様に静止位置の異なる2衛星から放送されています。これは「スカイ放送」と「パーフェクTV放送」が一緒になった経緯によるもので、市販のスカパー!用アンテナは、両方の放送波を同時に受信できる様に作られています...(^◇^;)エライ!

ここで興味深いのは、衛星によって豪雨の影響に時間のズレが起きる現象です。つまり、わずか約4度という放送波の到来方向の違いでも、豪雨エリアの移動を検出している様なのです。

この位置関係を逆転して、1衛星の放送波を日本各地で受信するケースを考えてみると、当然、各家庭における受信レベルの変化は、精度良く豪雨エリアの位置を検出していることになります。

これは、スカパー!に限らず静止位置110度のBS放送やCS110放送でも同様です。そこで、これら各家庭のBS/CS受信機における受信レベルの変化データを一箇所に集める(BS/CS受信機には電話回線を使った通信機能もあることですし)ことができれば、そう、日本各地の豪雨分布がリアルタイムで分かるのです。

これって、気象予報はもちろん防災にも使えると思うのですが、どうでしょうか~^^

あ、この「BS/CS放送を用いた豪雨監視システム」の弱点とその対策についても、私なりにいろいろ考えてみましたが、ブログが長くなるので今日はこの辺で~(^▽^;)

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