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夢の超特急(その1) [幻想の未来社会]

我々日本人は、システム開発やシステム調達が苦手の様です。私の身近な人が口にする例えですが、「自動車を購入する際、乗り易さや安全性が重要なのに、エンジン性能だけで優劣を判断することが多い」。つまり、エンジン、タイヤ、ハンドルなどの無数の要素が集まって「自動車システム」が成り立っているのに、その部分性能ばかり追いかけて、全体性能を忘れがち…ということです。

趣味半分の自動車購入なら、「そんなの自分の趣味だよ、他人は口出しするな」で終わりますが、この問題傾向が「社会基盤(インフラ)」を成すシステム規模になると、「大事故」「経営破綻」「税金の無駄使い」「担当者の過労死」といった無視できない事態になります。さて、何のことを言っているのでしょうか?

具体例を挙げるまでもなく、我々の社会基盤は「欠陥システム」に満ちあふれている様です。それなのに、これまで我々の社会が崩壊しなかったのは、ひとえに「末端で働く作業者の器用さ」と「利用者の我慢強さ」という日本人の特長に支えられている様な気がします。

まあ、抽象的な話はこれくらいにして…。

 

そんな我々日本人にも、世界に誇れる「システム開発例」があります。
夢の超特急「東海道新幹線」です。

戦前の弾丸列車構想に端を発し、1964年10月1日に営業開始した「東海道新幹線」は、在来特急の約2倍の最高速度という「部分性能」に優れるばかりでなく、下記の様な「全体性能」に優れた「高速交通システム」です。

  • 開業から40年間、大きな人身事故なく、 40億人の乗客を運んだ。
  • 総工費の内、国家予算分約3000億円を大きく上回る経済効果をもたらした。

この様な「高速交通システム」の成功は、優れた車両技術だけでなく、線路、架線、さらには信号システム、運行制御システム、電力供給システム、座席予約システムなどから構成されるトータルシステムをバランス良く構築できたからに他なりません。

また、技術面で「東海道新幹線」を称えるなら、「当時の最先技術を満載したシステム」ではなく、「当時の最新ビジョンに基づくシステム」が適切かもしれません。「機関車列車方式(先頭に電気機関車を置き、客車を引く)」が高速走行の主流であった世の中で、「電車列車方式(各車両にモータを配置する)」を採用した当時の島技師長の判断も、東海道新幹線の成功要因の一つと言われています。

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