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陸域観測技術衛星「ALOS(だいち)」打上げ [宇宙村]

1月24日午前10時33分、陸域観測技術衛星「ALOS(だいち)」を載せたH-IIAロケット8号機が種子島宇宙センターから打上げられました。現在、ALOSは高度約700kmの太陽同期軌道を飛行しながら、3ヶ月間に渡る衛星機能・性能の確認作業を行なっています。

(c)JAXA
(fig.1)ALOSの飛行想像図。衛星の進行方向から見た絵です。

まず、「H-IIA8号機」と「ALOS(だいち)」の概要ですが...。

[H-IIA8号機]

  • 機種:H2A2022型(202型に固体補助ロケット2本付加)
  • 全長:53m、質量:321t
  • 衛星フェアリング:5S(外径5m、シングルロンチ用)
  • 新規要素:LE-7Aエンジン(1段目)の再生冷却型長ノズルなど

[ALOS]

  • 名称:陸域観測技術衛星(dvanced and bserving atellite)
  • 質量:4.0t
  • ミッション寿命:3年
  • ミッション機器:PRISM、AVNIR-2、PALSARなど
  • 観測軌道:高度692km、傾斜角98度の太陽同期軌道

ところで、ALOSが飛行する「太陽同期軌道」 は、世界各地上空を衛星が通過する時刻(地方時)が、いつもほぼ同じ(ALOSの場合は10:30)という特徴があります。だから、日本上空を通過するのは日本時間の10:30頃で、カリフォルニア上空を通過するのも米国太平洋岸時間の10:30頃。この特徴は地球観測する上で都合が良いので、国内外の多くの地球観測衛星が「太陽同期軌道」を採用しています。


次に、ALOSに搭載された3種類の主要ミッション機器(観測装置)について...。

[PRISM]

下記の様な特徴を備えており、地表を3方向から撮像することで、立体的な地形データを得ることができます。地図作成への利用が期待されています。

  • 視野方向:直下視、前方視、後方視の3方向同時観測可能
  • 観測波長:0.52~0.77μm(パンクロ)
  • 観測幅:35km(3方向観測時)、70km(直下視のみ)
  • 地上分解能:2.5m

[AVNIR-2]

こちらは、ADEOS(1996年打上げ)に搭載されたAVNIRの分解能向上型。土地被覆や土地利用等の地域環境の把握や、広角のポインティング機能を使った災害状況把握への利用が期待されています。

  • 視野方向:直下視(軌道直角方向に±44度の視野変更可能)
  • 観測波長:0.42~0.50(青)、0.52~0.60(緑~黄色)、
         0.61~0.69(赤)、0.76~0.89(近赤外)μmの4バンド
  • 観測幅:70km(直下観測時)
  • 地上分解能:10m(直下観測時)

[PALSAR]

こちらは、JERS-1(1992年打上げ)に搭載された合成開口レーダ(SAR)の性能向上型。マイクロ波を使って、天候や昼夜を問わず立体的な地形観測ができます。資源探査や、観測方向の可変機能を用いた災害状況把握への利用が期待されています。

  • 主要観測モード:高分解能モード、ScanSAR
  • 観測周波数:L-band(1.27GHz)
  • 地上分解能:10m(高分解能モード)、100m(ScanSAR)
  • 観測幅:70km(高分解能モード)、250~350km(ScanSAR)


 
(c)JAXA
(fig.2)PRISM(左上)、AVNIR-2(右上)、PALSAR(左下)の観測視野のイメージ図。

今回の記事は、JAXAのHPにあるプレスキット「平成17年度 ロケット打上げ及び追跡管制計画書(PDF:680KB)」「陸域観測技術衛星ALOS解説資料(PDF:6.71MB)」「H-IIAロケット8号機の概要(PDF:1.67MB)」を参考にしました。詳細は元資料をご覧下さい。


追記:ALOS(だいち)に搭載された立体視センサPRISMの初画像が、JAXAのHP(
こちら)に掲載されました。

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