SSブログ

20万$の弾道飛行は宇宙旅行か? [宇宙村]

最近、キッズステーション(CS放送・スカパー!のアニメ専門ch)で「ストラトス・フォー」TV版の再放送をやってます。既に一度見たアニメ番組ですが、やっぱり今度も見たくて(+永久保存化したくて)HDDレコーダで予約録画してます。

「ストラトス・フォー」TV版のストーリ前半で一番萌える場面は、第2話「FOX ONE」。主人公の「本庄美風」が超高々度迎撃機メテオスイーパーで、初めて「彗星の破片」を迎撃した後のシーンですかね。メテオスイーパーは弾道飛行タイプの航空機なので、超高々度でミサイルを撃った後は地上基地(下地島)に戻らなくてはなりません。でも、生まれて初めて(?)超高々度まで駆け上った訓練生「美風」は、徐々に空の色が薄くなり、漆黒の闇と星々からなる宇宙空間が現れる前方の視界に心を奪われて、しばし帰還操作を忘れてしまう…ってところです...(*^^*)ポッ

まあ、映画「ライトスタッフ」でも、似た様なシーン(実在のチャックイェーガーがNF-104で超高々度飛行中、近付く宇宙空間に心を奪われる場面)がありましたが...(^◇^;)


さて、ヴァージン社のサイト(日本語版)を見ると、同社では2010年までに20万ドル(トレーニング代を含む)の料金で、弾道飛行による商業宇宙旅行の営業開始を予定しています。これはイイ加減な話でなく、2004年秋、最大高度112kmの弾道飛行(2度目)に成功(そして、Xプライズを獲得)した民間製「スペースシップワン(3人乗り)」をベースにした機体を使う、実現の可能性が充分にある計画です。

ここで気になるのが、高度100km超の弾道飛行が本当の「宇宙旅行」なのか…という点です。ソユーズやシャトルの様に地球周回軌道を飛ぶのではなく、大砲の弾の様に上がって降りる…その頂上付近で宇宙から地球を眺める体験を、はたして宇宙旅行と呼んで良いのか。

ここで、「だったら、少し待てば地球周回軌道の宇宙旅行もできる様になるんじゃないの? 料金はもうちょっと高くなるかも知れないけど…」と思われた方、下のグラフを見て下さい。これは、1960年代前半に運用された米国の極超音速実験機X-15の飛行データ(NASAのサイトより入手)ですが、注目して欲しいのは右上の「Satellite vehicles」の領域。つまり、地球周回軌道の宇宙旅行の実現には、高度100km以上における約8km/秒の速度が要求されます。一方、「スペースシップワン」の最高速度は、高度15kmにおけるマッハ3(約1km/秒)。速度が違い過ぎるのです。

 
(↑これはなかなか興味深いグラフです。例えば、シャトルは「Aerodynamic-flight corridor」と書かれた狭い領域を通って帰還します)

いや、私は「スペースシップワン」の偉業やヴァージン社の志を貶すつもりは毛頭ありません。そうじゃなくて、「スペースシップワン」の成功に基づくヴァージン社の商業宇宙旅行が、(今は超大金持ち限定の)本格的な商業宇宙旅行が普及する先駆けになるんじゃないかと思うのです。ただし、ヴァージン社の弾道飛行はあくまでも「宇宙旅行の入口」。その旅行客はきっと感じるハズ。「素晴らしい体験だった。でも、今度は数分間の無重量体験だけでなく、その先の宇宙旅行をしたい」って。

「弾道飛行」が宇宙旅行であるかどうかは微妙です。でも、それは本格的な商業宇宙旅行が始まるきっかけになるでしょう。そして、やがて多くの人々が仕事や観光で宇宙に出かける日々が来る…そんな気が…いや、そうなって欲しいと私は思うのです。私が子供の頃に夢見た「幻想の未来社会」の様に。

トップページへ
「ブリザドの部屋」親サイトへ


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 2

す

それでも宇宙旅行に行きたい人間多いんだろうなぁw
あたしも生きてるうちに行きたい
by す (2005-04-19 23:57) 

ブリザド

私は思うんですよ。旅行って言うからには、「行き先」が欲しいなあって。宇宙ステーションも、本当は「月」や「火星」行きの乗り換え駅であって、終着駅じゃない。

「月」や「火星」のステーションまで出掛けて、観光して、おみやげ買って、で、ようやく多くの人が満足する「宇宙旅行」になるのかも知れない...(^◇^;)
by ブリザド (2005-04-20 02:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0